「なぜこんなに感情が揺れるんだろう」「また同じパターンに陥ってしまった」
そんな経験はありませんか?
感情のコントロールが難しかったり、人間関係で消耗することが多かったりする背景には、「情動調整の不安定さ」が関わっていることがあります。
この記事では、愛着形成とパーツという2つの視点から、その仕組みをわかりやすく解説します。
自分の反応のクセを理解することで、少しずつ楽になるヒントが見えてくるはずです。
情動調整が不安定になるのは「性格」のせいじゃない
まず大切なのは、「感情の波が大きいのは、性格の問題ではない」ということです。
情動調整の不安定さは、過去の対人経験や内面の構造と深く結びついています。
特に幼少期に積み重ねてきた愛着形成と、心の中のパーツの働きが大きく影響しています。
そもそも「情動調整」って何?
情動調整とは、感情の強さや表現をうまく整える働きのことです。
この力は生まれつき備わっているものではなく、他者との関わりの中で少しずつ育っていきます。
安定した関係の中で「怖かったけど大丈夫だった」「怒ったけど受け止めてもらえた」という経験が積み重なると、自分で感情を整える力が自然と育つのです。
逆に不安定な環境では、感情の扱い方がうまく学ばれず、些細な刺激にも強く反応しやすくなります。
愛着形成が情動に与える影響
愛着とは「安心の土台」
愛着は、信頼できる人との関わりを通じて育まれる心の安全基地です。
安定した愛着があると、不安や怒りを感じても「きっと大丈夫」と回復できます。
一方、愛着が不安定だと警戒心が強まり、小さな出来事にも敏感に反応してしまいます。
安全基地があると、心が安定しやすい
「何かあってもここに戻れる」という感覚=安全基地があると、感情の揺れからの回復が早くなります。
幼少期にこの経験が少なかった場合、自己調整力の土台が育ちにくくなることがあります。
内的ワーキングモデルとは
私たちは過去の経験をもとに、無意識に「人間関係はこういうもの」という予測の枠組みを作っています。
これを内的ワーキングモデルといいます。
このモデルが「他者は信頼できる」という方向で育っていると関係を築きやすくなりますが、「いつ裏切られるかわからない」という方向で育っていると、感情が過敏に反応しやすくなるでしょう。
愛着が不安定になりやすい背景
愛着が育ちにくくなる要因には、さまざまなものがあります。
養育環境の一貫性の欠如
関わり方にムラがあると、「次はどう反応されるんだろう」という不確実性が不安を強めます。
ネグレクトや心理的ストレス
関わりが薄い環境や、緊張が続く環境では、常に警戒した状態が続きやすくなります。
家庭環境の変化
引越しや家族構成の変化なども、安心感の土台を揺るがすことがあります。
「パーツ」という視点で自分を理解する
パーツとは何か
心の中には、場面や状況に応じて異なる「役割」を持つ部分が存在しています。これをパーツといいます。
不安を感じる部分、感情を抑える部分、相手に合わせようとする部分…それぞれが独自の働きをしているのです。
愛着が不安定な環境で育つと、このパーツの分化が強まりやすくなり、「さっきと全然違う自分が出てきた」という体験につながることがあります。
主なパーツの働き
不安・恐怖を担うパーツ
危険を察知して守ろうとしますが、過剰に働くと常に警戒状態になってしまいます。
感情を抑制するパーツ
強い感情から自分を守る役割がありますが、働きすぎると自分の感情がわからなくなることも。
対人適応を優先するパーツ
関係を壊さないよう気を遣いますが、過剰になると自分の感情が後回しになります。
情動調整の不安定さに、できることから向き合う
感情の不安定さは、「直す」ものではなく「理解する」ものから始まります。
① パターンを観察する
感情や行動が大きく動いた場面をメモしてみましょう。記録することで、自分の反応のクセが少しずつ見えてきます。
② 感情を言葉にしてみる
「なんか嫌だった」ではなく「寂しかった」「怖かった」と少し具体的にしてみるだけで、感情が落ち着きやすくなります。
③ 安心できる関係を大切にする
少数でも、安心して話せる人がいることが情動調整の支えになります。
完璧な関係でなくていい、「この人といると少し楽」という感覚を大切にしてください。

まとめ:自分を責めるより、仕組みを理解することから
感情の波が大きかったり、人間関係で消耗しやすかったりするのは、意志の弱さでも性格の問題でもありません。
過去の経験が今の反応に影響しているという視点を持つだけで、自分への見方が少し変わることがあります。
無理に変えようとせず、まずは「そういう仕組みがあるんだな」と受け止めることから始めてみてください。
よくある質問
Q. 情動調整が不安定なのは性格のせいですか?
性格だけで説明されるものではありません。過去の環境や経験が影響していることが多くあります。
Q. 大人になってから愛着は変わりますか?
経験の積み重ねによって変化する可能性はあるとされています。ただし個人差があります。
Q. 自分でできることはありますか?
感情の記録や言語化など、日常の中でできることがあります。無理のない範囲でコツコツ続けることが大切です。
「情動調整不安定=性格のせいではない」kokorono-care
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参考文献
愛着形成の問題を抱える生徒への支援
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/mentalhealth/jyonan/eeagrl0000000iap-att/16jyounan%282%29.pdf
愛着とパーソナリティ障害―愛着理論はパーソナリティの適応化にどのように貢献できるか?―
https://journal.jspn.or.jp/Disp?mag=0&number=9&start=728&style=ofull&vol=121&year=2019
免責事項
本記事は、情動調整や愛着形成に関する一般的な情報提供を目的としています。
記事内の内容は、特定の診断・治療・カウンセリングに代わるものではありません。
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