肉以外にも、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質源があります。
ただし、肉だけを控える場合と、魚・卵・乳製品も避ける場合では、必要な対策が異なります。[出典1・6]
肉をやめれば必ず健康になるわけではありません。
代わりに何を食べるか、食事全体で必要なエネルギーや栄養素を確保できているかが重要です。
肉だけを控える場合と、完全菜食の違い
| 食生活 | 栄養面で確認すること |
|---|---|
| 肉を控え、魚・卵・乳製品は食べる | 肉の代わりになる主菜を確保し、食事量が減りすぎていないか確認する |
| 肉・魚を食べず、卵・乳製品は食べる | 豆類なども組み合わせ、鉄やビタミンB12の摂取に注意する |
| 肉・魚・卵・乳製品を食べない | ビタミンB12の補給方法を確保する。カルシウムやビタミンDなども確認する |

動物性食品を避ける場合は、ビタミンB12の摂取不足に注意が必要です。
栄養強化食品やサプリメントによる補給方法を確認します。[出典6]
健康への影響は、置き換える食品で変わる
脂質の取り方を見直せる
肉の脂身などに多い飽和脂肪酸を、不飽和脂肪酸に置き換えると、LDLコレステロールの低下が認められています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、飽和脂肪酸の過剰摂取を避ける目標量が設定されています。[出典2]
ただし、肉を減らしても、バターやチーズなどを多く食べれば、飽和脂肪酸が十分に減るとは限りません。肉を食べる回数だけでなく、脂質の種類と量を確認する必要があります。[出典2]
食物繊維を増やせる
豆類、全粒穀物、野菜などを取り入れると、食物繊維の摂取量を増やせます。食物繊維には、便通を整える働きがあります。[出典3]
これは植物性食品を増やすことによる効果です。肉を抜くだけで便秘が改善するとは限りません。
体重は食事全体のエネルギー収支で変わる
体重の変化には、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが関わります。肉を食べないこと自体に、減量を保証する効果はありません。[出典4]
植物性の食品でも、油や砂糖を多く使った料理・菓子は摂取量への注意が必要です。[出典1・4]
栄養不足で起こる不調
鉄不足による貧血
鉄は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料です。鉄不足が進むと鉄欠乏性貧血になり、疲労や脱力などが生じます。
月経による出血がある人は、鉄の損失が大きくなります。鉄不足の評価には、食事内容に加えて血液検査などが用いられます。[出典5]

ビタミンB12不足による貧血や神経症状
ビタミンB12は、血液や神経の正常な働きに必要です。欠乏すると、貧血、倦怠感、手足のしびれなどが起こります。
体内に蓄えられるため、不足の症状が現れるまで数年かかることがあります。食事を変えた直後に不調がなくても、補給方法の確認は必要です。[出典6]
たんぱく質とエネルギーの不足
たんぱく質は、筋肉を含む体の組織をつくる材料です。体内で合成と分解が繰り返されるため、食事から継続して補う必要があります。[出典7]
肉料理を抜いた分は、豆腐、納豆、豆類などの主菜で補います。魚・卵・乳製品を食べる場合は、それらもたんぱく質源になります。[出典1]
肉を控えるときに確認したい栄養素
| 栄養素 | 肉以外の食品例 | 補い方の注意点 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 豆腐、納豆、豆類、魚、卵、乳製品 | 野菜だけで済ませず、主菜を確保する |
| 鉄 | 豆類、緑色の葉野菜、あさり、鉄強化食品 | 植物性食品の鉄は吸収されにくいため、ビタミンCを含む食品と組み合わせる |
| ビタミンB12 | 魚、貝類、卵、乳製品、B12強化食品 | 動物性食品を避ける場合は、強化食品やサプリメントで補給方法を確保する |
| 亜鉛 | 牡蠣、卵、乳製品、豆類、ナッツ類、全粒穀物 | 植物性食品に含まれるフィチン酸は、亜鉛の吸収を妨げる |
| カルシウム | 乳製品、カルシウム強化飲料、カルシウムを添加した豆腐 | 乳製品を避ける場合は、代替食品の表示を確認する |
| ビタミンD | サケ、サバ、卵黄、きのこ類、ビタミンD強化食品 | 食品中の含有量を確認する。サプリメントの過剰摂取に注意する |
食品例と注意点は、[出典1・5・6・8・9・10]に基づきます。
表の食品を一つ食べれば必要量を満たす、という意味ではありません。
鉄は吸収も考えて組み合わせる
植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、肉や魚に含まれるヘム鉄より吸収されにくい性質があります。
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を助けます。[出典5]
豆類の料理に野菜や果物を添えるなど、鉄を含む食品とビタミンCを含む食品を組み合わせる方法があります。
完全菜食ではビタミンB12を優先して確認する
ビタミンB12の供給源は、魚介類、卵、乳製品などです。完全菜食では、B12が添加された食品や
サプリメントを利用して摂取源を確保します。[出典6]
「植物性」「豆乳」と表示されているだけでは、B12が補えるとは判断できません。
添加の有無や含有量の確認が必要です。
美容目的で肉を控える場合の注意点
今回確認した公的資料では、肉をやめること自体による肌荒れの改善や美肌効果は確認できませんでした。
脂質には必須脂肪酸が含まれ、たんぱく質も体の構成成分です。美容や減量を目的に、必要な栄養素まで減らす食事は適切ではありません。[出典2・7]
食生活を変えるときの確認事項
食事を変える際は、次の内容を確認します。
- 肉を減らした分の主菜を確保しているか。
- 主食も含め、食事量が減りすぎていないか。
- 魚・卵・乳製品も避けている場合、B12などの補給方法が決まっているか。
- 意図しない体重減少や、持続する疲労がないか。
妊娠・授乳中や成長期は、本人や子どもの成長に必要な栄養素を確保する必要があります。
完全菜食を続ける場合は、医師や管理栄養士への相談が役立ちます。[出典6・7]
疲労が続く場合や手足のしびれがある場合は、医療機関に相談してください。
「肉を少し食べれば治る」と自己判断せず、原因を確認することが必要です。[出典5・6]
参考文献(日本語の政府機関公開資料)
[出典1] 農林水産省『「食事バランスガイド」の適量と料理区分』。
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kenzensyokuseikatsu/about_b_guide.html
[出典2] 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』脂質。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316463.pdf
[出典3] 厚生労働省 e-ヘルスネット『食物繊維の必要性と健康』。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-05-001
[出典4] 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』エネルギー。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316461.pdf
[出典5] 厚生労働省 eJIM『鉄[サプリメント・ビタミン・ミネラル-医療者]』。
https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/07.html
[出典6] 厚生労働省 eJIM『ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル-一般]』。
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/07.html
[出典7] 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』たんぱく質。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316462.pdf
[出典8] 厚生労働省 eJIM『亜鉛[サプリメント・ビタミン・ミネラル-医療者]』。
https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/19.html
[出典9] 厚生労働省 eJIM『カルシウム[サプリメント・ビタミン・ミネラル-一般]』。
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/01.html
[出典10] 厚生労働省 eJIM『ビタミンD[サプリメント・ビタミン・ミネラル-一般]』。
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html
参考文献には、海外資料の日本語訳が含まれます。海外の摂取基準値は、日本人の基準値とは異なる場合があります。
免責事項
本記事は、食生活と栄養に関する一般的な情報を提供するものであり、医師による診断・治療や個別の栄養指導に代わるものではありません。掲載内容の正確性・最新性・完全性や、特定の健康効果を保証するものではありません。
食事の変更やサプリメントの使用は、持病、服薬状況、妊娠・授乳などによって注意点が異なります。必要に応じて医師・管理栄養士・薬剤師に相談してください。体調不良が続く場合は、自己判断で対処せず医療機関を受診してください。
参考文献の掲載は、各機関による本記事の監修・推奨を意味するものではありません。
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